ある方がXにポストされてました。
曰く「この作品はここが良かったが、あそこは気に入らなかった」というグラデーションがあまり理解されないというか、賛か否の二択しか許容されないような雰囲気がある。 ※一部の切り抜きですが、これで意図は理解できるはず。
言い方や書き方の問題もあるのだろうけどそれなりに気を使っているつもりでもうまく伝わらないことが結構あります。
どうやら多くの人が極論を求めているらしいのです。
昨年であったか、とある映画について知人とやり取りする際、面白かっただけに「あの点は勿体なかった」と言う話をしたら、そんなことを言う必要はないというニュアンスでの返信があり、それ以上のやりとりを断念しました。(^^;)
そんな訳でXなどでは書きにくい感想をこちらで。
3月は話題にしたい映画が3本あったのだけど、長くなるので一番旬な作品を。
先日、今話題の超大作映画『プロジェクト・ヘイルメアリー』を鑑賞してきました。
やはりというか当然というか、原作で徹底的に描かれていた情報量が圧倒的に足りない。
小説はハードカバーの上下巻ですからね。
この作品が映画を通して多くの目に触れることは決して悪いことではないし、近年よく問題となっている(かつてよりも表面化している)原作者と映画監督との関係性も良好とのこと、さらに言えば、原作者は当初から主役のグレース博士を、俳優のライアン・ゴズリングでイメージしていたそうで、そこは大いに歓迎できるのだけど、だからこそ期待もしてしまいますよね。
わざわざIMAXで観た映像自体はとても素晴らしかったのだけど、予備知識のない観客は、正直あの展開について行けないだろうと思ったし、圧倒的ともいえる大切な情報のカットが分かるだけにとにかく物足りない。
主要人物に感情移入するため、さらにはあの壮大なストーリーを受け入れるためには、やはりそれなりに時間をかけてコツコツ描くしかないのであろうなと。
おそらく原作を知らない観客の多くは、かなり雑なストーリーだと感じたはずである。
理由は簡単で、大河ドラマや朝のテレビ小説をたった2時間にまとめたような映画だから。
何が目的で、誰がどうしたくて、どれほど苦労して、どれだけ報われないことがあり、それでも努力して、努力して、あきらめず、何度もくじけ、そこでどう選択し、あのコンビが最終的に何を得られたのか…
映画の限られた情報では伝わらないだろうなと。
原作を読むとたぶん10倍、いや100倍の感動があると思う。
知識なしで映画を観た方は、色々と納得できていないと思うのだけど、そういう方には是非とも原作を読んで欲しい。その答えは「ほぼすべて」原作の中にありますので。
ちなみにこの作品、実は映画向きの部分もある。 それは「音」。
実を言うと私はこの作品を『オーディブル』(いわゆるオーディオブック)で聞いたのです。当然映画でも音は効果的に使われているのだけど、やはり説明が足りていない。
映画化に際して言われていた「ネタばれ」問題に関しては、実際のところ書籍でも危うい。
表紙を見てはいけないのだから…
私は家人から進められ、予備知識なしで耳からこの大傑作を聞く機会を得られた幸福な読者、いや聴者だったのです。
そんな訳で映画しか知らない方、そしてまったくこの作品について、まったく知らなかったという方は、まずは「オーディブル」を楽しんでほしい。
そして願わくは50分×20回くらいの大作ドラマを見てみたい。
近年のSFではもう一つの超話題作『三体』(こちらの原作はハードカバー6冊!)では2つの会社がドラマ版を作った(どちらもまだ第一部のみ)のだから…
『ヘイルメアリー』でもそれは可能なはず! 作る! 作る! 作る!


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